決勝戦まで素晴らしい激戦で履正社が制した2019夏の甲子園。
ついに終わってしまったものの個人的には余韻がまだまだ残っているため、独断と偏見でベストナインを選出させていただこうと思う。
何かしら制限を設けないと、とてもじゃないが選べない。
そのためいくつかパターンを考えたのだが、まずは「1・2年生」の条件でベストナインを選ぶ。
2019秋以降の戦いもぜひ追っていきたい選手たちである。
目次
2019甲子園のベストナイン【投手】
右投手:中森俊介(明石商業)
智弁和歌山の小林樹斗投手と悩んだ末に明石商業・中森俊介投手。
2年生での球速151キロは歴代2位!というのも凄いのだけど、八戸学院光星戦での「投げずに与える影響力」が尋常じゃなかった。
味方は「アイツがいるから大丈夫」と思っていただろうし、何より相手は「中森が出てくる前に」と常に感じていただろう。
履正社に打たれはしたものの球速以上に完成度が高い投手で、あの花咲徳栄打線を3点に抑えたことも中森投手の凄さを物語っている。
参考:中森俊介(明石商業)はドラフト注目|球速150キロ以外の武器とは
左投手:矢田真那斗(智弁和歌山)
明徳義塾の新地智也投手と悩んだが、その新地投手との投げ合いで見事な投球を見せた智弁和歌山の矢田真那斗投手を選出。
キレのあるボールを投げることは和歌山大会で見たときにわかっていたが、甲子園の大舞台であれほどの投球が出来る精神力は正直想像を遥かに超えていた。
明徳義塾戦での先発はもちろん、星稜戦でのリリーフも。
特に星稜戦は大半の観客が「いや、そこはエースの池田陽佑じゃなくて大丈夫?ヤバくね?」と思ったはず。
あの試合・あの場面で打者5人に対して被安打1の2奪三振無失点は見事と言うほかない。
参考:矢田真那斗(智弁和歌山)はキレが凄い|中学で県選抜左腕の投球術に注目
2019甲子園のベストナイン【捕手】
野呂田漸(秋田中央)
仙台育英・木村航大選手の良さは前々からわかっていたが、野呂田漸選手は想像以上のインパクトがあった。
おそらく「秋田中央の1年生キャッチャーがヤバイ」と感じた高校野球ファンは少なくなかったはずだ。
上級生に物怖じしないことはもとより、まるで試合を支配しているかのように見えた。
フィールディングもそうだが間のとり方などが絶妙すぎて、秋田に観に行こうと決めたキャッチャー。
参考:野呂田漸(秋田中央)はドラフト期待|中学時代に培った捕手の資質
2019甲子園のベストナイン:一塁手
笹倉世凪(仙台育英)
仙台育英の1年生左腕・笹倉世凪投手。マウンドでのピッチングもめちゃくちゃ良かったが、普通にファーストを任されていることはもっと評価されていいと思う。
中学時代からバッティングも良い投手ではあるものの、守備機会を無難にこなし打者としても十分な戦力になることを示した。
仙台育英でなければ中軸を打っていても不思議ではない。
投球も含め、常に堂々としたプレーぶりも1年生とは思えない落ち着きを放つ。
参考:笹倉世凪(仙台育英)の出身は楽天ジュニア|豪腕が誇るもう1つの武器
2019甲子園のベストナイン:二塁手
池田凛(履正社)
初めて観たときの印象は正直「このセカンド守備うまいなー」くらいだったが、打撃センスを見せつけられた。
決勝の星稜戦では奥川恭伸投手を完全に攻略していたといっても過言ではない。
ヒットを打てるだけでなく選球眼の良さ、粘り強さが素晴らしい。
このバッターが二番にいることは履正社の強さを物語っていたようにも感じる。
参考:池田凛(履正社)は中学で関西選抜|抜群の野球センスで攻守の要に成長
2019甲子園のベストナイン:三塁手
小田康一郎(中京学院大中京)
五番打者として、すでにチームの中心選手としての存在感を見せた1年生の小田康一郎選手。
履正社・小深田大地選手もさすがの活躍を見せたものの、今大会は小田選手で納得している。
準決勝の星稜戦でも研究されて左中間の打球が好捕されたが、予めセンターが左中間に寄っていなければ抜けていたはず。
そもそも奥川恭伸投手のボールを普通に打ち返している打撃センスが凄い。
あとで録画を見返したときに「ラッキーボーイ」と実況されていることに強い違和感すら覚えた。
参考:小田康一郎(中京院中京)は中学でも猛打|かわいいと話題のおかわり二世
2019甲子園のベストナイン:遊撃手
石黒和弥(高岡商業)
星稜・内山壮真選手に近江・土田龍空選手は相変わらずのセンスを見せたが、インパクトという点で高岡商業の石黒和弥選手。
安定感のある守備に加えて、バッティングでも非凡なセンスを見せた。
ヒットにならなかった打球もしっかりと捕らえているものが多くあり、ライト方向にも強い打球が打てる右打者。
「1年生にショートが務まんのか?」という観客に「何も問題ありません」とプレーで示した。
参考:石黒和弥(高岡商)が攻守に凄すぎる|ショートの守備が甲子園を沸かす
2019甲子園のベストナイン:外野手
細川凌平(智弁和歌山)
ベストナインを選ぶにあたって「同じチームから2人以上選ばない」という暗黙のルールを勝手に設けていたが、細川凌平選手は外せなかった。
明徳義塾戦で放った勝ち越しホームランは2019夏の甲子園の鳥肌ベスト3に入る。
捕らえた後の雄叫びや放り投げたバットの角度、ダイヤモンドを回りながらのガッツポーズなどすべてが画になる選手。
もし小学生に戻れるのならあのシーンを見て仮想ホームランを全力で練習したい。
参考:細川凌平(智弁和歌山)は中学日本代表|ホームランもあるセンス抜群打者
横山陽樹(作新学院)
やはりこの選手のスイングの鋭さは尋常じゃないと思った右打者。
高卒での2020ドラフトも十分に可能性があり、来田涼斗選手らを抑えて2年生でU18日本代表に選ばれたのも納得である。
当たり前に右方向へ強い打球を飛ばしているあたりも相変わらずの打撃センスを見せた。
今年の作新学院は本当に打撃が良いチームだったが、その中軸を担っていることがまったく不思議じゃない。
参考:作新学院・横山陽樹は中学世界一の四番|大阪桐蔭戦を糧に大きくなれ
飯塚恒介(霞ヶ浦)
東海大相模・鵜沼魁斗選手も当然考えたが、甲子園では本来のバッティングを見せられなかったこともあり1年生の飯塚恒介選手を選出する。
履正社に初戦で敗れたものの、その巧みなバットコントロールは十分に全国で通用することを示した。清水大成投手を打てるとは正直思っていなかった。
茨城大会でも5割近い打率を残していたが、履正社戦での5打数3安打1打点は立派すぎる数字。
欲を言えば追い上げムードだった六回無死三塁の打席で一本が欲しかったが(結果は二ゴロで1点)、あの打席の悔しさは今後に必要なものだったのだと思う。
俊足強肩も兼ね備えており、2019秋以降の活躍にも大いに期待したい。
参考:飯塚恒介(霞ヶ浦)は中学で東日本選抜|抜群の打撃センスは既に全国区