コラム

札幌大谷が駒大苫小牧戦で見せた強さが色褪せることはない

2019夏の南北海道大会、初戦で今大会イチとも言える対戦があった。

2018秋の神宮大会を制した札幌大谷と、2019春の全道大会で優勝を果たした駒大苫小牧。前評判通りの好ゲームで、手に汗握る熱戦とはこのことを言うのだと思う。

札幌大谷が4、駒大苫小牧が3と両校ともに失策は多かったが、この数字だけを見て単に「荒れた試合」だと思ってほしくない。それほど素晴らしいゲームだった。

敗れたとはいえ、今年の札幌大谷は強かった。それだけは絶対に揺るがない事実だ。

参考:2019夏・札幌大谷の注目選手|俊足揃いのスピード感にも期待

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随所で見せたレベルの高さ

駒大苫小牧に3対5と惜しくも初戦で姿を消した札幌大谷だが、攻守にレベルの高いプレーで大いに円山球場を沸かせてくれた。

先発したエース・西原健太が投げ込むストレートは力があったし、打線も幾度となく駒大苫小牧の本格派右腕・北嶋洸太投手を攻め立てた。

以前から注目していた二番・釜萢大司選手は複数安打を記録し、相変わらずシャープなバッティングを見せる。

今日で出場全チームを観戦したが、左の巧打者としては東海大札幌の三番・亀浦凌佑選手と並んで南北海道大会トップクラスだと思う。

加えて、外野の芝生に入った位置で守るセカンドの守備も素晴らしく、1回裏にライナー性の当たりをいとも簡単に捌いたときにはスタンドがどよめいた。

変則的な右横手投げの太田流星投手はやや判定に苦しんだものの、持ち前の制球力を活かして安定感のある投球を見せていて、この先の戦いも観たいと思った高校野球ファンは多かったことだろう。

佐野翔騎郎右翼手も俊足ぶりは目を見張るものがある上に、左打者として高いミート力も見せつけるなど2年生らしからぬ活躍を見せていた。

迫力満点の全校応援にも後押しされながら繰り広げた戦いは、全国的に注目されたことも納得のゲームだった。

飯田柊哉主将のキャプテンシー

2018秋の神宮大会で優勝を飾るなど、今の世代の北海道を引っ張ってきたと言っても過言ではない札幌大谷で主将を務めたのが飯田柊哉捕手。

一番の打順に入ったりクリーンナップを任されたりと高い打撃センスには信頼を置かれており、今年の札幌大谷を語る上では欠かせない選手だ。

守備でもキャッチングの上手さが光るキャッチャーで、扇の要としてタイプの異なる投手陣をリードしたが、飯田選手はとにかく「気配り」が凄い。

たとえば駒大苫小牧との一戦を見ても、西原健太投手がマウンドに上がる際と、太田流星投手が投げる際では返球のスピードが違った。

本格派右腕の西原投手には少し間を持たせる一方で、テンポの良さが持ち味の太田投手には素早い返球でリズムをつくっていく。

攻撃時のベンチを見ていても率先して声を出してチームを鼓舞していたし、その献身的な姿勢には頭が下がる。

2019春の大会で敗戦した後には選手だけでのミーティングを申し出るなど、常にチームを第一に考えてきた選手だけに、最終回に先頭打者としてヒットを放った際に見せたガッツポーズは胸にグッと来るものがあった。

事実、得点こそならなかったものの札幌大谷サイドのボルテージは一気に上がった。

チームを支えてきた選手の一打は重いんだなと。

「強い札幌大谷」が作られたのは、彼の存在による部分が間違いなく大きいと思う。

出来ることならこの先またお目にかかりたい選手だし、彼のような選手は必ずもっと上手くなる。

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これからの札幌大谷にも大いに期待したい

この試合では本来の鋭い当たりこそ見られなかったが、飯田柊哉・石鳥亮・西原健太のクリーンナップは道内屈指の破壊力を持っていた。

1年生からレギュラーとして注目を浴びながら奢ることなく、それぞれがレベルアップして最後の夏を迎えたことが何より素敵なことだ。

彼らが背負っていたプレッシャーは想像することすらもできない。

駒大苫小牧の校歌を聞いたあと、応援席へ挨拶に行った際に飯田選手と西原選手が崩れ落ちた姿には、ついもらい泣きしてしまった。

彼らが真摯に野球と向き合い、3年間積み重ねてきたものが垣間見えたように思う。

ただ、札幌大谷はこれで終わりではない。この3年生の姿を見た1・2年生の新しい戦いが始まる。

佐野翔騎郎選手や佐藤颯馬選手、阿部剣友投手ら2年生はもちろん、1年生ながらベンチ入りを果たし、奇しくもこの試合ではラストバッターになった将田明基選手も特別な経験をした。

スター選手が揃う先輩たちの背中を追っていた下級生が、今後どんな成長を見せるのか。

秋の札幌大谷には大いに期待して応援したいと思う。

別のバトンも受け継がれた

最後に、個人的に注目していたことを少し。

南北海道大会では密かに、札幌大谷と東海大札幌の決勝戦になることを期待したりもしていた。春の激突があまりにインパクトのある試合だったからだ。

札幌大谷の四番・石鳥亮選手と東海大札幌・小林珠維投手の対戦は十分すぎる迫力があった。

西原健太投手もファイターズジュニア時代からずっと小林珠維投手をライバル視してきた。

だからこそ、最後の夏にもう一度観たかった。

惜しくもその願いは叶わなかったが、札幌大谷の次の試合が東海大札幌だったことには縁を感じてしまう。それも同じ三塁側ベンチだった。

札幌大谷ナインが応援席への挨拶を終えると同時に東海大札幌がグラウンドに現れたが、このときすれ違いざまに石鳥選手と小林選手はそっと手を合わせた。

「負けてしまってスマン」
「あとは俺たちに任せろ」

そんな言葉を交わす時間もないほど一瞬の出来事だったが、このときの光景は鮮明に覚えている。美しかったし、尊かった。

これから主役になる後輩たちはもとより、ライバルの想いを受け継いだ者もいる。

バトンを受けた球児たちの戦いにもぜひ注目していきたい。そして、北海道の高校野球を牽引してくれたことに心から敬意を表したい。

まぎれもなく、今年の札幌大谷が見せた強さは本物だった。

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