コラム

駒大苫小牧はレベルの高いチームだと改めて感じた二人の働き

大いに注目を集めた札幌大谷との南北海道大会初戦に勝利した駒大苫小牧は、主力の活躍が目立った。

味方の守備の乱れをカバーする好投を見せたエース・北嶋洸太投手に、向かい風のなか右中間へ逆転ツーランを放った竹中研人捕手。三番・各務泰生選手も複数安打を放っている。

力を持ったチームであることは今さら言うまでもないが、駒大苫小牧の強さを感じる場面は他にもあった。

それを感じさせてくれたのは下位を打つ内野手の二人だ。

参考:2019夏・駒大苫小牧の注目選手|強打のクリーンナップと堅守の三遊間

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鉄壁の守備を見せる大沼恒介

まず七番・サードの大沼恒介選手に触れる。

複数のポジションをこなす内野の守備が上手で以前から注目していたが、シートノックの時点でわかるセンスの良さは健在だ。

札幌大谷との試合でも素晴らしい動きを見せていて、相手打者がバントの構えを見せたときのチャージも速い。あれだけ突っ込んでこられると、打者としてもなかなか三番側へ転がすことは難しいだろう。

三遊間の打球に対する反応も良く、全国制覇を経験したときの正三塁手・五十嵐大さん(現札幌大谷部長)のような安定感がある。

また、札幌大谷戦では試合終盤のファインプレーでも守備力の高さを見せつけた。

7回表の札幌大谷の攻撃で、レフト方向のスタンドに飛び込もうかというファールフライが上がった。位置としてはブルペンのマウンドあたり。

さすがに追い付けず仕切り直しだろうと思われたこの打球を、大沼選手は後ろ向きの難しい体勢で好捕したのである。

この素晴らしいプレーには「おおーー!!!」との歓声と共に、球場全体から大きな拍手が送られた。

試合終盤、再三訪れたピンチで札幌大谷に流れを渡さなかった要因はいくつかあったと思うが、大沼選手のファインプレーは確かにそのひとつだった。

フェンス近く、後ろ向きでの捕球は、彼のセンスを語るには十分だったように思う。

駒大苫小牧を支える堅守の象徴のような選手だ。

センター中心に打ち返す打撃センスも素晴らしいものがあるので、攻撃でもぜひ注目していきたい。

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しぶといバッティングを見せた福岡爽太

駒大苫小牧の強さは目立たない野球の巧さにもある。

打球が飛んだ際にはグラウンドに立つ9人全員が動くし、中継のカットの入り方にしても相当鍛えられてきたことがわかる。

高校野球界の王者・大阪桐蔭も実は高い走塁技術が強さの背景だと言われているが、駒大苫小牧の走塁もかなり意識が高い。

それぞれ目立つわけではないが「野球を知っている」ことは試合巧者ぶりに表れている。

八番・ファーストの福岡爽太選手が7回裏の攻撃で見せた動きからもそれは垣間見えた。

5対3と2点リードで迎えた7回裏。安全圏とは言えないしワンチャンスでひっくり返される、リードしている側にも嫌な点差だ。

実際に2018秋の全道大会では、序盤に大量リードを奪いながら札幌大谷にひっくり返された。ただでさえ何があるかわからない夏の試合、少なからずそんな空気は漂っていた。

そんな状況の中で7回裏の攻撃は好投手・太田流星投手の前に簡単にツーアウト。この場面での三者凡退はまずい。リズム良くチェンジになれば流れは一気に傾く。

ここで打席に立った福岡選手の働きが見事で、球数をかせぎ主導権を渡さない。

ファールで粘るだけでも御の字の打席で、福岡選手はファールで粘ったうえにライト前へヒットを放った。

もはや結果論でしかないが、仮にこの攻撃が三者凡退で終わっていたら流れが変わっていた可能性も十分にある。

こういうしぶといバッティングが出来る選手が下位打線にいる。駒大苫小牧の強さを感じた場面だった。

北嶋洸太以外のピッチャーにも期待

主力と呼ばれる選手たちがクローズアップされる一方、駒大苫小牧の特徴は総合力だと思う。

先制タイムリーを放った五番・岩舘真斗左翼手も左の好打者だし、二番セカンドの木村公亮選手も攻守に良い動きを見せる。

また、この夏はまだ投げていない北嶋投手以外のピッチャーの活躍もこれから勝ち上がるには不可欠だ。

北北海道大会でも好投手・伊東投手を擁する旭川北が準決勝で敗れたが、やはり疲労の色は隠せなかった。

もちろん駒大苫小牧も例外ではなく、今後も強豪との対戦が続くことを考えると、北嶋洸太投手ひとりでは厳しい。

一人で投げ切ってしまいそうな雰囲気は漂っているが、甲子園で勝ち進むことを考えると尚更だ。

とはいえ初戦の勝利で勢いに乗ったことは間違いなく、12年ぶりの甲子園にも一歩近づいた。

攻守にそつのない野球を見せる駒大苫小牧の、これからの戦いにも注目したい。

参考:駒大苫小牧の野球応援(吹奏楽)はなぜ毎年あんなにも最高なのか

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