身長184cm・体重80kgの恵まれた体格で、大型右腕としてドラフトにも注目が集まる花巻東の西舘勇陽(ゆうひ)投手。
2019春の県大会では準々決勝の一関一戦で147キロの球速をマークするなど、故障を越えて一回り大きくなった印象を受けます。
秋までの自己最速が142キロだっただけに自己最速を5キロ更新したインパクトは大きく、最後の夏に向けてもうひと伸びあるのではないかと話題になっていますね。
早々から注目を浴びていた本格派右腕の覚醒は非常に楽しみで、岩手県大会も熾烈な争いが繰り広げられそうです…!
一戸出身の大器は夏に化けることができるのか。花巻東のエース・西舘勇陽投手について特集してみました。
目次
西舘勇陽は一戸中出身|1年夏からベンチ入りも
中学時代には全国大会も経験
西舘勇陽投手は岩手県一戸町出身で、一戸南小学校で3年生のときに野球を始めます。その後は一戸中学に進み、小中と軟式でプレーしていましたね。
中学2年の夏には全国大会でベスト16も経験していますし、花巻東でも入学早々に佐々木洋監督の目に留まったことからも優れた才能の持ち主であったことがわかります。
ちなみに一学年上の兄・西舘洸希さん(現筑波大)は盛岡三高で同じく投手として活躍。
身長185cmの長身から140キロ台中盤の速球を武器とする本格派でしたから、幼い頃から兄弟の影響を受けていたことも、早くから才能が開花した理由の1つと言えるでしょうね!
花巻東でも入学早々から高評価
出身の一戸中学から花巻東に進路をとった西舘勇陽投手は、中学3年から高校入学までで一気に10cmも身長が伸びたと言います。
182cmと恵まれた体格で1年時から注目されており、制球力の高さや器用さが評価されて夏の大会では即ベンチ入りも果たしていますね。
【センバツ4日目第3試合/花巻東×東邦】花巻東・西舘勇陽投手(撮影=松橋隆樹)は2年生ながらプロも注目の大型右腕▼背番号は先輩である菊池雄星(現西武)、大谷翔平(現エンゼルス)もつけた「17」▼華やかな甲子園デビューを飾ることができるか注目です pic.twitter.com/Qri8M0sGyA
— 高校野球マガジン ホームラン (@homerun_henshu) 2018年3月25日
公式戦デビューこそ1年秋だったものの、この頃から「怪物候補」として話題になっていましたし、花巻東の先輩にあたる大谷翔平選手・菊池雄星選手が背負った背番号17を与えられるなど将来性には早くから期待がかけられる投手でした…!
2019新入生では仙台育英の144キロ右腕・伊藤樹選手も右の本格派として入学早々から話題になっていますが、夏には大いに東北地区を盛り上げてほしいですね。
参考:伊藤樹(仙台育英)は球速だけじゃない|豊富な球種と投球術にも注目
花巻東・西舘勇陽がドラフト候補に名乗り出た理由
周囲の期待とは裏腹に腰痛を抱えており、高校では伸び悩んだ西舘勇陽投手。
2018春のセンバツでリリーフとして甲子園初マウンドを踏んだものの、春夏連覇を果たした大阪桐蔭を相手に2回7失点を喫するなど、なかなか本来の投球ができずに苦しみました。
そんな背景がありながら最後の夏に向けて這い上がってきた姿が素晴らしく、応援の声も非常に多い投手ですね!
そうだよ!「岩手の新怪物」って言われたのは西舘くんが先!
花巻東には西舘勇陽がいる!
チームは確実に進化している!絶対春優勝して、第1シード取って、
夏連覇👊そして岩手から日本一⚾️
— あずさ (@sfsrle17) 2019年5月16日
ここからは、西舘勇陽投手がドラフト候補として注目される理由を見ていきましょう。
さらに球速が伸びそうな将来性
2019春に最速147キロをマークした速球は現時点でも素晴らしいものがあるのですが、西舘勇陽投手はこれもあくまで「通過点」だと感じさせるスケールの大きさがあります。
実際に花巻東入学時の球速は130キロ台前半でしたから、15キロ以上も高校の期間で球速が伸びているんですよね…!
花巻東の西舘くん。昨日147キロ。成長期に入った感じか。
この投球は昨秋の準決勝の専大北上戦。球がキレていた。次の準決勝は昨秋と同じカード。1年生の時から注目してきた逸材が、遂に本格化か。 pic.twitter.com/sdSxnoBzCL— Satoshi Skicaptain (@SSkicaptain) 2019年5月20日
キャッチャーのミットを叩くストレートは球速以上の迫力を感じますし、夏の大会で更なる成長を見せれば十分にプロ入りもありえる逸材であることは間違いありません。
2019春の投球を視察した楽天のスカウトも「夏までに化けそう」とのコメントを残しているように、150キロを超えるなど一皮むけた姿を見せると一気に評価は高くなるでしょう。
1年生ながら強打で中心選手として話題になっている盛岡大付属・松本龍哉内野手らとの対戦も非常に楽しみですね!
参考:松本龍哉(盛岡大付)は日本代表で打率5割|小学70発と驚異の長打力も
球種と緩急にも強み
本格派としてストレートの球速やキレに注目が集まる一方で、西舘勇陽投手の強みは変化球を有効に使える点にもあります。
スライダーに加えてスプリットもありバッターを揺さぶることができるのですが、特に注目すべきはスローカーブですね。
球速が100キロを切るほどの緩いボールを自在に操るあたりに器用さも感じますし、ストレートと50キロ近い球速差があるスローカーブは一級品と言えるでしょう。
2019春の岩手県大会決勝でも5回途中からの登板にも関わらず、8つの三振を奪う好投を見せていますから、緩急を上手に使い三振も狙える西舘勇陽投手のピッチングからは目が離せません。
花巻東・西舘勇陽には夏にすべてをぶつけてほしい
ドラフト注目の本格派右腕として最後の夏にも期待がかかる西舘勇陽投手ですが、この3年間は決して平坦な道のりではなかったと思います。
早くから周囲の期待を背負い、腰痛と戦う一方でプレッシャーもあったでしょう。
#センバツ 大谷、菊地が背負った出世番号17を背負う花巻東の「新怪物候補」西舘勇陽(2年)が、シート打撃で久しぶりに登板した。「スピードを意識して投げて力んでいて、制球がよくなかった。次の試合までには体の軸を直したい」。佐々木監督も「起用は十分にある」 #高校野球 #選抜 #花巻東 pic.twitter.com/fPIohOmpXz
— 日刊スポーツ新聞社東北取材班 (@nikkan_tohoku) 2018年3月29日
実際に2018春のセンバツで大阪桐蔭に大敗を喫したあと、夏の盛岡大付との決勝戦で復活の投球を見せた際には試合後に号泣。
自分の投球でチームが負けてしまうかもしれない、との想いがあった胸の内を吐露していました。
しかしこのエピソードは、こんな痺れるタイミングで登板機会を与える佐々木洋監督にも震えましたね…!
期待の大きさを表す、何よりのエールとも取れます。
西舘勇陽投手にとって、これまでの高校野球生活においては苦しい想いの方が多かったかもしれません。
ただ、だからこそ夏に懸ける想いは人一倍でしょうし、厳しい道を通ってきたからこそマウンドで見せられる姿は絶対にあると思います。
逞しさを増したエースの更なる大化けにも期待して、西舘勇陽投手を応援していきたいと思います。