コラム

北星大付・古谷龍之介が札幌第一戦で見せた好投は観客を惹き込んだ

南北海道大会1回戦・北星大付属VS札幌第一の試合は1対1で延長10回までもつれ込む素晴らしい投手戦になった。

当初の予想は北星大付属のエース・古谷龍之介投手と札幌第一打線の激突との見方が多かったが、札幌第一のエース左腕・畠山和明投手も素晴らしいピッチャーだ。投手戦になることは予想できた。

ただ想定外だったのは、古谷龍之介投手がここまで圧倒的な投球を見せたことである。

敗れはしたものの間違いなくこの素晴らしいゲームで「主役」だった古谷龍之介投手を中心に、この好ゲームについて触れていきたいと思う。

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両エースの危なげない立ち上がり

右の古谷龍之介投手と左の畠山和明投手。背番号1を背負う両投手とも、危なげない立ち上がりを見せた。

実際には二人とも序盤からランナーを得点圏に背負ったのだが、まったくと言っていいほど点が入る気配は感じられなかった。

北星大付属の古谷投手が140キロを超える自慢のストレートで押せば、札幌第一の畠山投手もキレのある変化球で凡打の山を築く。

北星大付属、札幌第一ともに打線が弱いわけでは決してない。にも関わらず、二人のエースの安定感は抜群だったと言える。

特に驚きだったのは、古谷龍之介投手はストレートとスライダーのコンビネーションに加え、時折カーブも織り交ぜる緩急を見せたことだ。

春の大会で観たときにも好投手との印象は受けたものの、正直ここまでの完成度は感じなかった。ストレートに拘るあまり、力任せになる場面が散見された。

それが短期間でここまで伸びるのだから素晴らしい成長ぶりだと思う。時々ストレートが力みから高めに抜けていたが、常時コントロールも素晴らしいものがあり「たまにああいうボールもあった方がいいよね」と感じるくらいの余裕すら感じた。

対する畠山投手で印象的だったのは三回の投球で、北星大付属の四番・平手塁選手に死球を与えた。

平手選手は春の大会でもタイムリーを放つなど打席で存在感を示していたし、2018夏も経験している左の好打者。抜けたボールとはいえ頭部に当たってしまったことによる精神的な影響も気になったが、まったく動じずに後続を打ち取った。

走る古谷龍之介のストレート

古谷龍之介投手のストレートは球速はもちろん、キレが素晴らしかった。

中盤では明らかにストレートを狙ってきていた札幌第一の打者が前に飛ばせなかったのは、単に速いからだけではないだろう。

特に札幌第一の三番・村田凛捕手との対戦は見ごたえが十分で、真っ直ぐを捕らえらえず何度もバックネットにボールが突き刺さっていた。

ホームランを打てる強打者に対して真っ向からストレートで勝負できる(する)あたりも見事だし、狙っていて打てないストレートはなかなか投げられるものではない。

そんな状況の中でもヒットを放つ村田選手もやはり注目の打者だけれど、悔しそうな表情の方が頭に残っている。

一方でクレバーな投球も忘れておらず、5回に一番・大平裕人遊撃手にスライダーを3球続けて三振を奪った場面は圧巻だった。

この辺りだろうか。周囲の観客から「北星のピッチャー、結構いいね」との声が聞こえてきた。

札幌第一のキーマンは間違いなく主将で一番の大平選手だけに、彼に仕事をさせなかったことは本当に大きな意味を持つ。

ただ、大平選手のこの試合唯一のヒットは延長10回に生まれる。札幌第一が試合を決めたイニングだ。

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札幌第一が見せた意地

両チームとも8回に1点を取って延長戦に突入した試合は、10回に決着を迎える。

札幌第一は先頭の大平裕人選手がセンター前ヒットで出塁。塁上ではガッツポーズを見せており、いかにここまで苦しい打席が続いたかが伺えた。

二番・金野颯汰中堅手が送ったあと、三番・村田凛捕手は敬遠の四球から、四番の大宮昂汰郎右翼手がレフト線にタイムリーとなる二塁打を放ってサヨナラ勝ち。

札幌第一としては苦しい試合展開だったが最後に意地を感じたし、ワンチャンスをものにする辺りはやはりこのチームの強さと言えると思う。

準決勝をかけた試合では札幌大谷を下した駒大苫小牧との対戦となるが、最高の結末だけに勢いに乗ったまま迎えることが出来るだろう。

参考:2019夏・駒大苫小牧の注目選手|強打のクリーンナップと堅守の三遊間

北星大付属・古谷が見せたエースの姿

身体を張ってボールを止めた宮古拓磨捕手や好守を見せたセカンド・木下光太選手ら、ナインに支えられて10回を投げた古谷龍之介投手。

全校応援のスタンドから送られる声援も大きな力になったであろうことは言うまでもない。

悔しい敗戦を喫したものの古谷投手の投球内容は素晴らしく、身長172cmとは思えないマウンドでの存在感があった。

また最後に打たれはしたが、延長10回のピンチでエースたる所以が垣間見えた気がする。

一死一・二塁で四番を迎える局面で、宮古拓磨捕手はマウンドに駆け寄った。

「落ち着いていこう」なのか、あるいは「自信持っていこうぜ!」だったのか。あのとき古谷投手にかけた言葉はわからない。

ただこの場面で古谷投手は、「任せろ」と言わんばかりに宮古捕手の肩に腕を回してポンと叩いた。

今思い出しても鳥肌が立つ。

絶体絶命のピンチで自信満々にキャッチャーを安心させた姿は、まさにエースとしてのあるべき姿だったように感じた。

試合中盤に「北星のピッチャー、結構いいね」だった観客の反応が試合後、「北星のピッチャー、マジで凄かったな」に変わっていたことがすべてを物語っているのではないだろうか。

素晴らしい試合を見せてくれてありがとうと伝えたいのは僕だけではないはずだ。

北星大付属の古谷龍之介投手は紛れもなく、この試合の主役だった。

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