コラム

夏の甲子園中止からの代替案は?問題を因数分解して考えてみた

2020年5月20日に「夏の甲子園中止」が正式に発表された。

大阪の吉村知事が「考え直してほしい」と語るなど混沌としているが、あまりにショッキングな決定だけにざわつくのは無理もない。悔しくて、やりきれない気持ちで眠れない夜を過ごしたのは僕だけではないと思う。

ただ感情の問題を一旦置いたとしたら、ここからは「どんなことが出来るか?」を考えること。つまり代替案に関する視点が大切になるはずである。

その際すべての問題が混在してしまうとかえって混乱を招いてしまうため、この記事では問題を細分化して考えてみたい。

目次

甲子園の代わりは存在しない

まず大前提として、夏の甲子園に代わるもなど存在しないと思う。

皮肉なものだがどんなに補おうとしても100%は難しいだろうし、どんな案が採用されたとしても甲子園の代わりにはならない。

ゆえに「そんなの意味なくね?」と言ってしまえば全てがそこに帰結しかねない。

しかしそれでも「0か100か」みたいな極論ではない部分にチャンスが芽生えるはずだと考え、この前提をおいた上で話しを進めたい。

夏の甲子園中止で失われたもの

球児たちの夢が破れた。

マスメディアでは様々な見出しが紙面に飛び交っているが、夏の甲子園中止によって失われたものは抽象的にとらえると打開策が見つけにくいように思う。

本当に心苦しいが、様々な要素を因数分解することが必要なんじゃないだろうか。

1、目標

まず今回の決定によって、高校球児たちは目標が見えなくなってしまった。

僕自身も高校球児だった頃には「甲子園がすべて」だったし、きっと同じような気持ちの高校球児も多いのではないだろうか。

厳しい練習に耐えられたのも、日々の娯楽を犠牲にしてきたのも、甲子園という目標があったから。

あの菊池雄星投手も花巻東時代には「もう投げられなくなってもいい」と語った。

それくらい特別な場所であることは言うまでもなく、目指すべきゴールを再定義することは不可欠だと思う。

2、感謝

高校野球で甲子園を目指している球児たちは当然ながら、自分や仲間たちとの目標のために走る。集大成と呼べるような舞台が必要なのは前述のとおりである。

ただ一方で、「自分以外のため」という想いを心のどこかに持っている選手もきっと多いのではないだろうか。

支えてくれた親や親戚に、自分のプレーで感謝を伝えたい。

監督やコーチをはじめ関係者の方々に、成長した姿を見せて恩返しがしたい。

あるいは「大好きな彼女を甲子園に連れていく約束を果たしたい」といったような、そんなピュアな気持ちも大きなエネルギーになるのが高校野球だと僕は思う。

3、進路

今回の決定によって考えるべきこととして、進路の問題も欠かせない。

文字どおり甲子園で人生が変わった選手はたくさんいると思うし、地区大会も含め、最後の夏で評価を上げた選手は言わずもがな。

これはドラフトはもちろん、大学や社会人へ進む選手も含めての話である。

前述の1、2が部活として位置づけならば、この3は人生として重要なことだろう。

スカウトの方々からしても、2019秋までのデータだけでは明らかに判断材料が少ない。

冬の厳しいトレーニングの中で一気に成長する選手は、これまでに何人も見てきた。

4、場所

上記の3つに加えて最後に、結局のところ甲子園は「憧れの場所」だということ。

これは絶対に外せなくて、今後なにか出来るとしたら必ず検討してほしい項目だと思う。

甲子園を変に神格化するつもりもないが、それでもやっぱり高校球児にとって「あの場所」は特別なのだ。

代替案はどんな形が考えられる?

ここまで大きく4つに分けて見てきたが、その全てを1つの案で満たすのは現実的に難しいと思う。もしそれが出来るとしたら甲子園の開催しかないだろう。

よって、今後のアクションは「目的ごとに複数」あってほしいなと個人的には思う。

それぞれどんなことが出来るか、ない知恵を絞って考えてみた。あくまで友人とお酒を飲みながら話しているようなレベルに過ぎないし、現実的かどうかもわからない。

ましてコロナの影響なんてのは誰にも予測ができない。

ただ現状「たとえ無理でも的外れだとしても」アイデアはあった方が良いと思うし、代案なき否定からは何も生まれないから。

先で因数分解した4つの要素に沿って、考えてみる。

1、目標

まず見えなくなってしまった目標の再定義について。

これはざっくりいうと、やはり「ゴールを決める」ことが大事だと思う。

何をもってやりきったとするのか?目指すものの有無でモチベーションは100にも0にもなるはずだ。

具体策として、いま議論されている地区大会の開催はすごく良いと思う。またそれに伴って、「東北大会」「関東大会」のような地域での大会も検討されていいのではないだろうか。

甲子園中止の理由として「宿泊」もネックになっていたため、あくまで移動可能な範囲内で。

例年甲子園の優勝校1校のみだった「チャンピオン」が、今年に限って増えるのは悪くないんじゃないだろうか。

2、感謝

これは極めて1と近いと思うのだが、考えようによっては「感謝を表現する場所」は作りやすいんじゃないだろうか。

たとえば引退試合を設けるとか。

球場のスケジュールがつかない場合には、高校のグラウンドだっていいと思う。

もしブラバンやチアも駆けつけてくれるなら、そんな幸せなことはないと思う。

さすがに一般の高校野球ファンが観に行くことは避けるべきだろうが、父母や関係者に限って、最後の勇姿を目に焼き付けられると嬉しいはずだ。

これまで球児と一緒に戦ってきたのだから。

3、進路

全国の球児が集う、ということが難しい以上、従来とは異なるアクションを考えるしかないだろう。

たとえば地区大会が開催されるなら、可能な限りそれを配信する(テレビでもネットでも)。そこでTwitterなどでハッシュタグを決めて投稿を募るとか。

「#2020ドラフト選手権」など、ようは高校野球ファンがスカウトの手助けをするような動きがあってもいいんじゃないだろうか?

当然素人目線なので最終的にはスカウトが判断すべきではあるが、それでも大学や社会人への進路も含め「良い選手が見つかりやすくなる」メリットはあるかもしれない。

あるいはYouTubeなどを使って動画で選手たちを見られるように、各高校で動くのも面白い気がする。

おそらく、ドラフト注目選手のトライアウトのような形が現実的なのだろうけど。

「高卒でプロ入り」ではなくとも素晴らしい選手は多いわけで、その芽が少しでも日の目を浴びるといいなと思う。

4、場所

夏の甲子園開催が難しいとの判断が、現時点では決定している。

時期をズラすなどして、なんとか甲子園に立てるチャンスは得られないのだろうか。

阪神タイガースのスケジュールなどはもちろんあるだろうし、秋以降になるほど球児たちの勉学などに影響が出るかもしれない。

ただ国体のような時期に大会ができていたのもまた事実で、何かしら甲子園へのチャンスについては議論が行われると嬉しい。

考えよう、出来ることを。

ここまで書いたことは極めて主観的で、的はずれなこともあるかもしれない。

きっと全国の高校野球ファンの方々のほうが画期的なアイデアを持っているだろう。(Webでの署名活動も僕は思い浮かばなかった)

でもいずれにしても、それぞれいま出来ることを考え、前向きに検討することが今は大事なのだと思う。

もちろんやる気がなくなった球児もいるだろうし、そこで「まだ頑張ろうぜ」なんてことは言えない。一旦沈んでもおかしくない状況だろう。

そのうえで、「もし何か出来るとしたら?」との思考は止めるべきじゃないはず。

少しでも新しい道が拓けるように。

考えよう。いま出来ることを。

参考:2020年の高校野球は、まだ終わらない

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