コラム

大船渡・国保監督の采配について|あるいは佐々木くんの未来の話

岩手大会決勝の花巻東対大船渡の試合。12対2で花巻東が勝利して甲子園出場を決めた。

試合直後から佐々木朗希投手がこの試合に出場しなかったことに関して話題になっていて、様々な意見が飛び交っている。

かくいう僕も、昨晩は野球仲間たちと3時間、国保監督の采配について語った。話すほどに論点がズレていって、どんどん答えがわからなくなっていった。

それもそのはず。この采配には、正解なんてないんだ。

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国保監督の采配ミスではない

この試合で佐々木朗希投手が出場しなかったことに関して、様々な意見が聞こえてくる。

苦言を呈す人、理解を示す人。他にもいろんな声があって、実に難しい。どの意見も少なからずわかるからだ。

もちろん僕も「佐々木くんを見たかった」のが本音ではある。

今年の花巻東は強い。その花巻東に対して佐々木朗希投手がどんな投球をするのかが楽しみだった。

こちらも全国有数の好投手・西舘勇陽投手との投げ合いには当たり前に期待した。

だから残念だったのは間違いないのだが、「采配ミスだったのか」と言われたらそうでもない。

故障の兆候があったとの話が今後出るかもしれないが、さほど重要ではないように思う。最後の夏を勝ち進むほど、ピッチャーは「100%万全」なんて状態とは遠ざかるから。

国保監督と佐々木朗希投手、そして大船渡のメンバー。

彼らが決めたことであり、少なからずそれぞれが納得していたのだから、それを外野の僕らがミスと決めるのは違うだろう。

そもそもどんな試合であれ、監督の采配に万人の意見が合致することはほぼありえない。

そんな正解がない場所に答えを求めるものだから、みるみるドツボにハマっていった。

野手で出場していたら説

野球仲間と議論しているとき、一向に終着駅が見当たらない僕らはネットの声を見た。

とても全部は読み切れないほどだったけど、一部覚えているものを載せる。

「佐々木くんの将来を考えたら当然」
「故障したら叩くくせに出さなくても批判かよ」
「準決勝で早めに降板させたら良かった」
「最後の夏に輝きたい人もいるのに」
「プロでの活躍で全部吹き飛ばしてもらおう」

まだまだあったが、とても記憶しておける量ではなかったのでとりあえずこの辺で。

これらを見てどうだろう。

色んな意見があるが、僕は少なからずどれもわかる気はした。

中でも僕らの議論を混乱に導いたのは「投げられないのはわかるけど、野手として出てほしかった」との声だ。

実際に、佐々木朗希投手がスタメンを外れたと知ったとき真っ先にこれを思った。

盛岡四との延長戦で放ったツーランホームランは記憶に新しいし、彼はバッティングも素晴らしい。

それゆえに、同じようなことを考えた人も少なくないのではないだろうか。

ただ、これも結局のところわからなかった。

「せめて四番に据えておきたかったよね」
「でも出さないことでナインは燃えるぞ」

何度この平行線を辿ったかわからないし、言ってしまえば3時間話したところで何も進んでいない。

しつこいようだがもう一度言う。

この采配に、絶対的な正解など存在しないのだ。

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きっと、それは今ではない

どれだけ議論しても、どれだけ熱くなっても。

「正解はない」
「彼らの決断がすべて」

という結論に行き着くし、それ以上でも以下でもない。

お気付きかと思うが、僕はこの記事でここまで何の意見も述べていない。

なぜなら、ぶっちゃけ「わからない」というのが率直な想いだから。

球数制限や日程調整の件にまで話が及ぶと余計にわからなくなるし、大船渡・国保監督の采配について特に僕が言えることもない。

だから「今回の采配に正解はない」で締めても構わないのだけど、それではあまりに芸がないので1つだけ加えたい。

それは「今ではない」ということ。

佐々木朗希投手にとって、この采配がどんな意味を持つかが見えるのは、きっと今ではない。

試合から1日経ってみて「あれは正解だったね!」で満場一致なんてありえるわけがない。だからといって采配ミスと糾弾される必要もまるでない。

ただ、この先の彼の活躍次第で今回の采配は「正解」に変わる。

近ければU18日本代表としての戦いなのか、あるいはプロの世界か。

その舞台はメジャーリーグかもしれないが、今回の決断が「正解」になるとしたら、佐々木朗希投手がこの先で活躍を見せてくれたときだと思う。

国保監督も佐々木朗希投手に無限の可能性を感じているからこそ、このような決断をしたようにも感じる。

国保監督もきっと投げさせたかったし、佐々木朗希投手も投げたい気持ちがなかったわけがない。

ちなみに佐々木朗希投手について、大谷翔平選手は「高校で勝った負けたで終わる選手ではない」とのコメントを残したが、大谷翔平選手も7年前の2012年7月26日に岩手大会の決勝で敗れた。

花巻東での甲子園出場こそ逃したものの、高校野球生活がまったく無駄ではなかったことはひと足先に彼が証明している。

今や世界の舞台で活躍する大谷翔平投手に「僕とは比べ物にならない」と言わしめる佐々木朗希投手にも大いに期待したいし、応援する。

日本中が「あのときは大事をとって正解だったね」と口を揃える日は、必ず来るはずだ。

絶対に揺るがない2つのこと

最後に、この岩手大会において揺るがない事実が2つある。

大船渡というチームは強かったこと。そして、花巻東はそれを上回る強さを見せたこと。

佐々木朗希投手に注目しないことは無理に等しいが、その佐々木朗希投手のボールを受け続けた及川恵介捕手をはじめ、大船渡の選手たちの戦いは素晴らしかった。

大和田健人投手の好投や千葉宗幸主将のタイムリーなど、シード校の久慈を佐々木朗希投手なしで破った試合は大いに興奮した。

前評判では「大船渡の甲子園は難しい」との声が多かったように思うが、そんな高校野球ファンに「イケる」と思わせた大船渡の選手たちの強さを心から称えたい。

また、花巻東も強かった。劣勢の終盤でも実に楽しそうにプレーする姿が印象的で、負ける空気をまるで感じなかった。スタンドの応援も一体感があって見事だった。

甲子園でも勝てる実力は十分にあるチームなので、自分たちの野球でぜひ勝ち進んでほしい。

今年の岩手大会は本当に面白かった。

その戦いを牽引してくれた2校には感謝しかない。批判などあろうはずがない。

そして、佐々木朗希投手のこれからを全力で応援したい。

彼の本当の戦いはこれからだ。

参考:佐々木朗希が中学時代に経験した挫折|ドラフト注目右腕の苦悩と涙

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