コラム

札幌創成・大川賢吾主将は最後の夏を終えて笑った

「やりきった選手って最後笑うんだな」

南北海道大会の準々決勝で北照に敗れた、札幌創成の大川賢吾主将を見て思ったのがそれだった。

整列の際、清々しい笑顔で北照の選手と言葉を交わす姿がとても印象的だった。

最後の夏の敗戦では悔しさに涙を流す選手もいるし、これに関して「どちらが良い」なんてものは絶対にない。そもそも狙って出来るものでもない。

でも確かに大川主将は笑っていた。札幌創成が素晴らしい戦いを見せた、何よりの証拠だと思う。

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札幌創成を勘違いしていた

まずこの記事を書くにあたって、僕は札幌創成について勘違いしていたことを告白しなければいけない。

正直なところ2019春に試合を観るまでは前評判から、エース・竹内龍臣投手のチームだと思っていた。

実際に竹内投手は最速145キロを誇る本格派右腕であり、球威のある真っ直ぐで相手打線を真っ向からねじ伏せることが出来る。チームの大黒柱であることは間違いない。

ただ札幌創成は竹内投手だけのチームかと言ったらまったくそうではなかった。

たとえば進藤大夢二塁手と秋元僚介遊撃手の二遊間は守備力が高く、札幌創成の試合を観に行くときにはシートノックから見たいと思った。

南北海道大会の北照戦でも三遊間に飛んだゴロを素早く二塁へ送球した秋元選手のプレーを見て、思わず拍手を送っていた。野球好きと思わしき隣の観客も「上手い!」と口にしていた。

そう。札幌創成の二遊間はすごく守備が上手かったのだ。

またクリーンナップを務める古田純也一塁手、阿曽伊吹右翼手らをはじめ打線もよく振れていたし、いつも良い場面で仕事をする大川選手も打席で期待感のある選手だった。

札幌支部予選での戦いはもとより、南北海道大会初戦の知内戦でのサヨナラ勝ちも痺れたが、いずれもチームの総合力で勝ち上がってきたと言える。

安易な勘違いをしてしまい、本当にごめんなさい。

北照戦で見せた粘りの姿勢

札幌創成と北照の試合は、結果だけ見ると一方的だったように映るかもしれない。

0対6のスコアもそうだし、ヒット数も札幌創成の5本に対し北照は14本を記録した。

実際のところ終盤に突き放されはしたものの、6回裏を終えた時点では0対1。初回にミスで1点を失った以外は、強打の北照打線を0に抑え込んでいたのだ。

特にこの試合で先発マウンドに上がった2年生の栗田宏太郎投手は良い。

元々ストレート・変化球ともにキレのあるボールを投げられる右腕だが、この試合でも素晴らしいボールを投げていた。

エース・竹内投手も冬のトレーニングで覚醒しただけに、今後、新チームでの活躍も楽しみなピッチャーだ。

そして何よりこの試合、0対6とリードを広げられながらもコールドに持ち込ませなかった札幌創成ナインの粘りは素晴らしいものがあった。

7回に3点、8回に2点と北照サイドとしては完全に押せ押せムードだったし、夏の戦いとはいえ投手も含め野手陣が集中力を切らさないのは容易ではない。

だからこそ、9回まで戦い抜いたことには大きな意味があったのだと思う。

8回の守備でピンチをしのいだ場面、球場全体が沸いたのは、彼らがグラウンドで見せた気持ちが観客にまで伝わっていたからに他ならない。

北照は確かに強かったが、点差以上に締まった試合を見せてくれた札幌創成にも心から拍手を送りたい。

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「戦い抜く」ことの尊さ

最後まで諦めることなくグラウンドを駆けた札幌創成。

大川賢吾主将の笑顔はしっかりと焼き付いていて、それを見た瞬間になぜかこちらが涙をこぼしそうになった。

単純に「すげえ」と思った。

甲子園でも笑顔で去っていく球児を見ると感動するものだが、僕の目が確かであれば大川主将は一度も涙を見せていない。

高校野球を笑顔で終えられる球児が全国に何人いるのかと思うと途端に尊いものに思えてくるし、実際にすべてを出し切った心地良さのようなものを最後の夏で感じるのは極めて難しいことだ。

南北海道大会はまだ続くが、どのチームも笑って終えられるとは思わない。悔し涙を流すことが悪いわけでもまったくないし、本気で頑張ってきた人間の特権だとも思っている。

ただ、どのチームも「やりきった」と思えるような戦いをしてほしいと切に願う。

札幌創成が見せてくれた最後の夏の戦いは、高校野球にとって大切なものを教えてくれたような気がする。

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